法的解釈の違い

夕方、時間の余裕が出来たので
スクーリングで勉強した事を再度まとめてみました。

資料や記載したノードなどを見直し、
足りない部分は追記し、新たに発見した事も書き…と。

そうしていくうちに、刑法での授業の様子が蘇ってきました。
(私の中で刑法の授業が一番記憶に残っている)

当然、刑法の授業なので六法全書の中にある法律を元に解釈をするのですが
常に私の頭の中は、タイでの法律的な解釈と
日本の法律的な解釈が頭の中を巡っていました。

先生や学友のの発言を聞いていると
私はどうもタイに順応したらしく
私が用意した答えは日本の法律から言うと
「ありえな~い!!」ことばかりでした。

他の国の法律は知りませんが
国によって法律自体が違い、解釈の仕方が違うがゆえに
揉め事が多く発生しているのだろうなぁと思ったのです。

日本では、刑事裁判の場合、起訴されて初めて「被告人」になります。
(その前は“被疑者”)

タイの場合は、起訴されなくても「被告人」です。
しかも、起訴の前に原告と被告による「調停」があります。
調停なので、当然”和解”もあります。

この話しを学友にした際に
「刑事裁判なのに、調停があるの????」と聞かれました。

タイでは裁判の前に3回調停があります。

私は刑事でタイ人に訴えられた事があるため
調停に行ったことがあります。

もっと驚かれたのが、調停の際は調停官(検察官も兼務)の仲裁により
話し合いがなされるのですが…

「前田さん。あなたは日本人だし会社も経営しています。
 そこそこの財産もあるでしょう。
 (ここで、ない!! と叫んだが…)
 原告(タイ人)は貧乏です。
 和解して和解金を支払えば、裁判になりません。
 施しの心で…どうでしょうか?」

その後、「運が悪かったのですね…」と。

調停官に言われた…
と話をしたところとても驚かれました。

日本では、こういうやりとりはありえないと思うのです。

私が刑事でタイ人に訴えられたのは
「タイ政府に対する偽証罪」で訴えられました。

書類の記載ミスが原因なのですが
書類の記載ミス=タイ政府に対する虚偽の申告 となります。
政府に対する犯罪は全て刑事事件となります。
(その後、書類は当然訂正しました)

ということは
タイ政府が原告で私が被告人…になると思うのですが。

タイの法律的な解釈で言うと
当社の書類の記載ミスを、

タイ人(原告)が見つけ政府に報告した…となるのです。

調停の際に、調停官から
「原告の目的は和解金だけ です」

 

と伝えられました。

タイ政府に対する偽証罪に関しては一切の話はなく
和解金をいくらにするのか?
というネゴシエーションだけの調停になりました。

なので「運が悪い」と調停で言われる事になったのです。

また私は外国人であるため
もし刑事事件で裁判が開始された場合ですが
裁判中はパスポートが裁判所に保管されるため

国外へ出国できなくなります。
(逃亡防止のため)

タイの裁判は1審が3~5年ほど掛かります。

もし有罪となった場合ですが、
ビザやワーキングパーミットが取得できなくなります。
(原則、国外退去となります)

また私の場合は会社を経営しているため
会社の代表者として登記が出来なくなるし
サイン権もなくなります。

当然、“原告と和解”をせざるえないのですが
偽証罪はどこかへ消えてしまい、

和解金をいくらにするのかだけを話し合う…というのは
日本ではないよな…と思いました。

書類の不備があったので、私が悪いのは仕方がないのですが
基本的にタイ人とこの国で争ったら外国人は負けます。

調停官から

「タイ人は貧乏なの。あなたは外国人で金持ち。
 寄付だと思ってお金を払って、

自由を買ったと思えば良い」

 

と普通に言われます。

…と、刑法の授業中も、そして今振り返っても
所かわれば法律が変わり、法律の解釈も変わる…
と思った次第です。

こんな私は、大学での授業の際には
珍発言続出だったことは言うまでもありません…。

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この記事を書いた人

2001年2月、25歳の時にTJ Prannaraiをタイで操業しました。翻訳、通訳派遣、法律本の出版を行う会社を経営しております。会社経営と同時に2015年より泰日経済技術振興協会でタイ労働法の講師を務めております。2020年3月、日本大学大学院を修了しました。修士論文のテーマは「タイの日系企業における労務施策とその影響」です。

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