法律を悪用する弁護士に注意しましょう

ある方(仮にAさんとします)から依頼されて
タイ人弁護士との仲介役をお願いされました。

Aさんは製造会社を経営する方で日本とタイに工場があります。

5年ほど前からのお客様で
主に翻訳や通訳者の派遣をご利用いただいております。

民事訴訟と刑事訴訟を抱えており
その中で刑事訴訟の案件がこじれてしまいました。

Aさんは代表取締役で、5年前に会社の増資を行いました。
この時の増資が
「株主総会を開催しないで勝手に増資した」
と役員から訴訟を起こされたのです。

Aさんとしては、株主総会の招集や増資について
会計士に一任していたそうなのですが
どうも、きちんとした手続きを経ていなかったらしく
株主から
「偽証罪」として訴えを起こされてしまいました。

Aさんは普段は日本に在住しており
体調も優れないため裁判の開始日にタイに来ることができず
その点に関して医師の診断書を提出したのですが
株主から“国外逃亡犯として指名手配”と訴えられてしまいました。
(医師の診断書が裁判所に提出されていない可能性が高い)

しかも今度は株主が勝手に
“タイ法人の代表取締役社長”として
Aさんから株主への株主変更の申請を商務省に提出してしまったのです。

当然ながら、これも正当な手続きを経ていないので
Aさんが株主を訴えるという訴訟合戦になってしまいました。

Aさんはタイ語も英語も出来ないことから
当社に弁護士(タイ人)との仲介として
言葉の面を解消して欲しいという依頼なのですが
この弁護士が、ことのほかおかしい!

一体誰の弁護士なのか?
と疑問に思うことしばしば…。

普通弁護士とは依頼人(Aさん)側に立って交渉したりするものだと思うのですが
一番最後に話した会話は

「Aさんは国外逃亡犯として訴えられていますので
タイに来ると入国管理局で収監されてしまいます。
敗訴の可能性が高いのでこのまま逃げててください。
敗訴が確定した場合は禁固7年です」

だそうです。

Aさんの質問には一切答えず、この回答でした。

この弁護士は、どうも株主から買収されている可能性が高いこと、
Aさんは前々からおかしいと感じていることを話してくれましたが
法律を悪用して一方的に脅す…。
これは法律に詳しくない人に対して弁護士が行う手段の一つです。

たまたま友人に弁護士がいるので相談したところ

「Aさんのケースは指名手配されていようが、
訴訟中だろうが全く問題ない!」

と言っていました。

友人は日本の大学に留学経験を持つタイ人弁護士ですが
彼曰く

「日本語も英語も出来ないのに、どうやって専門的な法律を説明するんだろう?
相手も理解できないだろうし、煙に巻かれてしまうし、
うまく言いくるめられて終わってしまう。
時間だけ稼いでお金だけとられて終わってしまう」

と嘆いていました。

早くこの問題が解決してほしいと願いつつ
企業経営者である以上、自分や社員を守るため
法律は知っていたほうが断然有利だと感じた出来事でした。

タイでは“法律の専門家だから弁護士に任せよう!”
はとても危険です。

こちらもある程度の知識を持ち
弁護士を使ってやる くらいの気持ちでちょうど良いです。

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この記事を書いた人

2001年2月、25歳の時にTJ Prannaraiをタイで操業しました。翻訳、通訳派遣、法律本の出版を行う会社を経営しております。会社経営と同時に2015年より泰日経済技術振興協会でタイ労働法の講師を務めております。2020年3月、日本大学大学院を修了しました。修士論文のテーマは「タイの日系企業における労務施策とその影響」です。

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